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国連総会SDGsカンファレンス2019にて第一席となりました!

2019年09月30日

2019年9月25日、アメリカ、ニューヨークの国連総会にて、SDGs(持続的な開発目標)をテーマとした国連職員向けのカンファレンス(技術学術検討会議)にて、当協会代表 小祝政明氏が、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」という目標を達成するための技術として、BLOF栽培技術を用いた、アフリカのザンビアでの収穫量UPの取り組み、および干ばつに強い農産物づくりの取り組みについて、事例発表を行った。

有機物を用いた土づくりによって、栄養価が高い農産物の多収穫栽培が可能となり、これにより収穫量を減らさずに、栽培面積を減らすことができ、栽培面積を減らした分を森にすることで、水源を確保することができ、水を確保することで、農産物の安定生産が可能になることについて解説した。

このBLOF栽培技術を導入すると、森の木も早く大きくすることができる。水源の森は農業者だけのものではなく、その地域に暮らすすべての生きもののために有益であることを重視し、森の管理を農業技術をもった農業者が行うことで、農産物を食べる人が、農産物を消費することで、森を守る取り組みにも参加できるようになれば、人間も生態系の一員として共生調和できるのではないだろうか。

そして、SDGsの達成のためには、教育によって、自らのことを自分で考えることができるようにすることが大事であり、教育によって、行動できるようになることが大事であり。教育こそが社会をよくし、未来を切り開いて原動力となると締めくくった。

この発表は、13の発表に中で、第一席に選ばれた。
http://unga-reception.org/awards/

食べることは、生きていくことと同じ意味をもつ。命をつなぐための食べものである農産物をつくる技術・技能は、「読み書き・そろばん」と同じくらい、人が生きていくために不可欠な基礎知識といえる。しかし、現実には、多くの地域で、農産物を栽培するための土壌を、どのように持続的にマネージメントしていくのかという知識がひどく欠落している。農業は理科である。生態系のメカニズムを正しく理解し、土壌を無理なく豊かにしていく「土づくり技術」を学ぶこと、正しく実践することで、地球から飢餓で苦しむ人を無くすことができる。


(1)わたしたちには強みがある。
それは、
①多収穫が可能
②高糖度、高品質、高栄養価の農産物を生産できる
③病害虫に強い、安定性生産ができる。

(2)わたしたちの技術の特徴
農業=理科と考えている。現状を正確に観察し・観察結果を科学的に分析する。
多収穫・高糖度・高品質・高栄養価・高耐病虫害性・安定生産。これらは栽培生産された結果である。このような結果になるように栽培生産の細部をプログラミングしていく。つまり、現状を把握し、植物が育つための環境に足りもないものがあれば、それを補い。作物が育つために最適な土壌環境を用意してから栽培する。成功するようにきちんと細部まで計画し、計画に基づいて実行する。

その要となる技術が「土壌分析技術と施肥設計技術」
作物が育つために必要な土壌中の栄養成分を調べて、足りないものがあれば補う。

施肥設計ソフトは現在、オンラインタイプのものを開発中。2020年4月頃リリース予定。
土壌分析の結果・圃場の位置・栽培する作物・作付け予定の月日を入力すると、自動で最適な施肥量を表示してくれる。

農業者が自分で力で、自らが耕作する土壌の現状を正確に知ること。農業者が自分の力で、作物を健康に育てるための肥料設計を行えるうようにすることが重要と考えている。ここに農業者が知ることができない「ブラックボックス」があってはいけないと考えている。


(3)植物生理に調和した栽培
わたしたちが農産物を栽培する上で、もっとも重視しているものは「植物生理」である。
植物は「独立栄養生物」である。植物は太陽の光と水と炭酸ガスがあれば光合成によって生きるためのエネルギーの源であり、体をつくる炭水化物のもととなるブドウ糖を生産することができる。

(4)光合成のメカニズム
作物は光合成をどのように行っているのか?光合成を行っているのは葉緑体である。
葉緑体の光を受け止めるところは葉緑素(クロロフィル)である。
葉緑素の中心構造はマグネシウムであり、マグネシウムを4つの窒素が支えている。
光を受け止めた葉緑素は、光を電気にして、水を電気分解して、水素と酸素にしている。
酸素入らないので外へ捨てる。植物は光という形のないものから、水素という形のあるものを得ている。
水素は単体でエネルギーを持っている物質であるが、爆発してしまう危険な物質でもある。
そこで植物は、二酸化炭素という消火剤を使ってブドウ糖という安定物質にして貯蔵している。
この時に水を捨てることで、太陽光で温まった葉緑体自体を冷やしている。
光合成にて、ブドウ糖を生成するには、大量の水が必要となる。

(5)光合成能力を活性化させることで、多収穫・高糖度・高品質・高栄養価が実現できる。
ビタミンCもクエン酸もセルロースも炭水化物の仲間。栄養素も炭水化物の仲間であり、光合成能力を活性化させることで、多収穫・高糖度・高品質・高栄養価が実現できる。


(6)ザンビアでの課題
ザンビアでは、なぜ作物がうまく育たないのか?
まずは、土を調べて、原因を調べてみる。
調べた結果、ザンビアの土壌は、リン酸が非常に効きにくいということがわかった。


(7)ザンビアでの方法
リン酸を効かすための工夫。リン酸の肥料を発酵ケイフンで包み。発酵微生物がつくる酸でリン酸を溶かし、作物が吸収できるようにした。


(8)有機物が土壌を団粒化するメカニズム
肥料を入れて、土壌栄養状態を最適化しても、その栄養成分を作物が吸収してくれなくては意味がない。作物に栄養成分を積極的に吸収させるには、作物の根を増やしてやるしかない。作物の根が増える条件。それは土中に栄養成分を溶かした水と、根が酸素呼吸して吸収するためのエネルギーを得られるように酸素があるという条件。この条件を得るために「土壌団粒化技術」が重要となってくる。

土壌を団粒化している主役は酵母菌。酵母菌は酸素がまったくない状態でも、ブドウ糖をアルコールに分解しエネルギーを得ることができる。このとき発生する炭酸ガスの膨張圧によって土壌を内側から砕き、バラバラにする。180gのブドウ糖をアルコール発酵するとき、44.8?の炭酸ガスが得られる。昼間は熱せられて膨張し、夜になって温度が下がると冷やされ、収縮する。この膨張と収縮を繰り返すことで、土壌は団粒化していく。しかし、酵母菌は堆肥の成分であるセルロースもタンパク質も直接は食べることができない。そこでサポートする微生物が必要となる。それが納豆菌。納豆菌はセルロースをオリゴ糖に、オリゴ糖をブドウ糖に分解する酵素をもっている。さらに納豆菌はタンパク質をペプチドに、ペプチドをアミノ酸に分解する酵素をもっている。堆肥のセルロースをブドウ糖にし、堆肥のタンパク質をアミノ酸にし、酵母菌に供給している。

土中でできたアルコールは酸化されて、酢酸になる。酢酸は根から吸収されて、作物の体をつくる炭水化物を補うこともできる。


(9)微生物の活動によって土壌を団粒化させることができる。
長い棒が抵抗なくするすると土中に入っていく。
土壌中に隙間が多くあり、その隙間に水と空気があるため、根は呼吸することができ、細胞を盛んに分裂させ、広い範囲に細かく根を張らせることができる。


(10)ザンビアでの結果
わたしたちの技術が施された圃場のトウモロコシの葉は、黄色く枯れるのが遅く、緑の色を長く保ち、通常の畑のトウモロコシよりも長く光合成を維持し、長く炭水化物を作り続けた。
これは、土壌を団粒化することで根の張りがよくなり、根の量が増えることで、葉緑体を維持するためのミネラルをより多く吸収することができたことにより実現できた成果。


(11)アミノ酸肥料の活用
写真は東大の二瓶先生が行った研究成果。アミノ酸の種類による作物の生育の違いについて、調べた結果。


(12)硝酸とアミノ酸、生育の違いの比較。
①硝酸を吸収した場合。
硝酸は葉の中に運ばれて、光合成によって生成されたブドウ糖を使ってアミノ酸に合成され、生長点に運ばれてタンパク質になり、新しい細胞になる。新しい細胞はセルロースの外壁をつくる必要があるので、光合成によって生成されたブドウ糖を運んできてセルロースをつくる。光合成によって生成されたブドウ糖が残っていれば、それがビタミンなどの栄養になる。
②アミノ酸を吸収した場合。
すでにアミノ酸の状態なので生長点にダイレクトに運ばれてタンパク質に合成されて新しい細胞になる。新しい細胞ができた時点で、光合成によって生成されたブドウ糖は手付かずなので、細胞を守るセルロースの外壁は厚く強固なものをつくることがでいる。細胞の中に蓄積されるビタミンなどの栄養素も、光合成によって生成されたブドウ糖がたくさん残っているので、多くなる。


(13)水溶性炭水化物を根から吸収させる技術
写真は理化学研究所が行った実験。酢酸を与えることで乾燥に強くなった。
これをザンビアで応用した。
発酵ケイフンに酢酸をつくる微生物をつけて施用したところ、干ばつに耐えて、作物は無事に生長することができた。


(14)水溶性炭水化物肥料
作物の収穫量・品質・耐病虫害能力は作物体内の炭水化物の量で決まる。作物は光合成によってブドウ糖をつくるだけなく、根から水溶性の炭水化物を吸収している。作物体内の炭水化物量は、光合成によるブドウ糖生成量と根からの水溶性炭水化物の吸収量の合算で決まる。


(15)BLOF栽培は2つの栽培理論で、多収穫・高品質・高栄養価・高耐病虫害性・安定生産を実現している。
①アミノ酸肥料を活用することで光合成で生成されたブドウ糖を余らせるエコ栽培技術
②水溶性炭水化物を土壌に施肥して、根から積極的に吸わせるアクディブ栽培技術

(16)BLOF栽培技術の設計図
BLOF栽培技術は、ミネラル肥料・アミノ酸肥料・中熟堆肥の3つの肥料を活用する。
①ミネラル肥料を活用して、光合成能力を向上させ、病虫害に対する防御力を向上させ、生命維持能力を向上させる。
そのためには、土壌分析と施肥設計の技術を使う。
②アミノ酸肥料を使い細胞をつくる能力を向上させる。
そのためには、発酵微生物を活用し、使いこなす必要がある。
③中熟堆肥を使い太陽熱養生処理を行い、土壌を団粒化させ、根の量を増やし、収量と品質を向上させる
そのためには堆肥をつくる技術(または、堆肥の良し悪しを見極める技術)と太陽熱養生処理を行う技術が必要となる。


(17)BLOF栽培技術を広めることで、水源の森を増やしていきたい
多収穫栽培技術の導入によって、栽培面積を減らすことができる。減らした畑を森にすることで、作物栽培に必要な水源を確保することができる。

地表が植物に覆われていないと、土壌は乾燥し劣化し、雨によって表土が流されてしまう。
土壌が植物に覆われれていたら、植物の葉は、雨粒をさらに細かく砕き、土壌が傷つくのを防ぎ、植物の根は土壌に水を貯えることができる。


(18)BLOF栽培技術を活用することで、これまでよりも早く森を再生させることができる。


(19)森を営む農業者
農業者は、畑と共に森をつくり、農業のための水源を確保すると共に、多くの人が使える水も守ることになる。
農産物を消費する人は、農産物を購入することで、森を営む農業者を助け、命の水を守ることに協力する。


(20)こどもたちが笑顔になることが、一番の幸せ
おなかを空かせているこどもがいるなら助けたい。誰もがそう考える。
しかし、いつまでも他力頼みではいけない。自力をつけなくてはいけない。
自分が食べるものを自分たちでしっかりつくることができる知識と技能を身に着けることが重要である。


(21)持続的な開発を成功させるためには教育が重要。
教育によって、自らのことを自分で考えることできるようなることが大事。
教育によって行動できるようになることが大事。
教育こそが社会をよくし、未来を切り開いていく力の源となる。



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