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栄養価コンテストの目的と意義

2016年10月05日

「野菜を食べる理由」それはなんだろうか?一言でいえば、「美と健康のため」ではないだろうか?


野菜には、私たちの体の健康を保つための栄養と、体の美しさを保つための栄養がたくさん含まれている。①ビタミン類・ポリフェノールやカロチノイドなどの抗酸化物質は、細胞の老化を防止する効果がある。②「トマトが赤くなると、医者が青くなる」のことわざの意味するところは、栄養価の高いトマトを食べると、トマトに含まれているリコピンなどが体に作用して、風邪の予防につながるからだろう。③また、野菜からとれる食物センイが腸内細菌を活性化し、血液やリンパの流れをよくし、免疫力を高めるということもわかってきている。


わたしたちは現在ほど、野菜の栄養について、くわしく調べられていなかった時代から、野菜の栄養に注目して、積極的に、おいしくいただいてきた。ところが今、野菜に異変が起きている。それは野菜を食べる理由ともいえる野菜の栄養価が昔よりも、ずいぶん減ってしまっているのである。

1960年頃の野菜の栄養価と、現在2010年頃の栄養価を比べてみると、現在の野菜は昔の野菜に比べたらビタミンやミネラルなどの栄養価が半分くらいになってしまっている。

原因について、さまざまなことが言われている。①測定の仕方が、今と昔とでは違うとか。②旬がなくなり、旬でないとき、つまりその作物にとって適期でない時期に栽培されているから栄養価が上らないとか。③品種改良によって、現在の品種が病気に強いが、栄養価は低いとか。さまざまな原因が考えられる。

栄養価が低くなった理由として、一番大きな理由は、④化学肥料の普及で、堆肥を使わなくなったこと。または、堆肥の質が悪くなったことにあるのではないかと考えられる。


有機栽培のはじまりは、アルバート・ハワードのオーガニック・ファーミング(有機物を用いた農業)が源となっている。堆肥を使わないと、土壌は固くなり、水はけや水持ちが悪くなり、根の張りも悪くなり、病害虫にも会いやすくなる。微量要素の欠乏も起こしやすい。結果、収量と品質が下がっていくことになる。

堆肥を積極的に使う有機栽培でつくると、野菜の栄養価は昔のように高いものになるはず。しかし、ただ単純に堆肥を使えばよいというものでもないらしい。

有機農産物だからといって、ただ、それだけでは、すべての有機農産物が「人の美と健康を支える力をもっている」とはいえない。有機農産物と化学肥料を普通に使って育てられた慣行栽培の農産物の栄養価や健康効果を調べる研究は、世界各国で行われているが、あまり有機農産物は優れているという結果は出ていない。

有名なところでは2009年7月のイギリスの食品基準庁の報告がある。イギリスの食品基準庁は、「一般に、有機食品のほうが慣行の農畜産物よりも栄養的に優れていて、健康に良いといわれている」ので、有機農産物の栄養価や健康効果について科学的な裏付けを得ようと考え、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の栄養公衆衛生研究チームに研究を委託したが、その結果は「有機農産物と慣行栽培の農産物で、栄養価や健康効果に大きな差はない」というもであった。詳細については「西尾道徳の環境保全型農業レポート」のHPにある。

しかし、「有機農産物の栄養価はたいしたことがない」という、多くの研究結果は、地に足のついてない机上の空論ではないだろうか?


なぜなら、わたしたち農業者は、ほんとうにおいしい野菜のことを知っている。

そして、人の美と健康を支えることができる野菜作りに挑戦できるなら、やってやろうじゃないかという、ちょっとした気概に満ちている。


栄養価コンテストの目的のひとつは、栄養価の高い野菜の作り方とはどのような栽培方法なのか?それを明らかにすること。たくさんのデータを集めれば、集めるほど、作り方の正解の的は小さくなる。どのようなプロセスを経ることで「栄養価の高い野菜」をつくるだすことができるのか?それが見えてくる。

栄養価コンテストを行うことで、自分の野菜の栄養価のレベルを知ることができる。そして、栄養価の高い野菜をつくる生産農家が誰なのかがわかる。


栄養価の高い野菜をつくりたいと思っても、それを自分ひとりで悩みながら、研究研鑽を積んでいくというやり方ではともうもなく時間がかかってしまう。ひとりで悩むより、できる農家さん、もっている農家さんに、栄養価の高い野菜の作り方を直接的に教えてもらう方が、上達も早く、達成も早い。また、栄養価の高い野菜をつくる生産農家が集まって、技術について話し合うことで技術の発展するスピードはかなり速くなるだろう。

実際に、回数を重ねることで、栄養価の高い野菜の栽培技術、土づくり技術、堆肥製造技術というもののレベルが上がってきている。

栄養価コンテストは、「人の美と健康を支えることができる野菜をつくる技術」を確立するための扉。参加するか、参加しないかはあなた次第。


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